シンポジウムのテーマと開催趣旨
今回の夏のプログラミング・シンポジウムでは「テストとプログラミング」というテーマで発表を募集します. ここでいう「テスト」とは,いわゆる試験 (test/examination) に限らず,評価 (assessment/evaluation),検証(validation),試行(trial),監査 (audit) など,日本語における「テスト」という語が持つ広い意味をすべて含んでいます.
たとえば:
- ソフトウェア開発における単体テスト,自動テストなど
- セキュリティ上の脆弱性診断やコード監査など安全性を高めるテスト
- 機械学習モデルの評価指標・バリデーション・倫理的テスト
- 教育における学習者評価やプログラミング能力の評価と可視化
- 高校「情報」でのプログラミングに関する問題の出題・採点のあり方
- プログラミングコンテストにおけるテストデータの設計と生成や難易度調整
- LLMやコード生成モデルの性能を測るベンチマークや自動コード評価
- 自動化・可視化・対話的検証など新しい「テスト」の形の提案
など,さまざまな視点が考えられます.
また,技術的な試みだけでなく,「何をどのようにテストするのか」「そもそもテストとは何か」といったメタ的・哲学的な問いも歓迎します. 試してみた結果の途中報告や,現場での工夫の紹介,小さな問いかけなども大歓迎です.「テスト」にまつわるさまざまな視点が交差し,新たな議論の起点となるような発表をお待ちしています.
重要な日程
- 発表申込:2025年6月27日(金) ~ 2025年7月24日(木)
7月17日(木)(発表申込の受付は終了しました) - 参加者申込受付:2025年7月26日(土)
21日(月)~ 2025年8月18日(月)12日(火)(参加申込の受付は終了しました)
(※申込多数の場合は締切を早めることがあります) - プログラム公開:2025年8月1日(金)
7月21日(月)暫定版プログラムを公開 - シンポジウム :2025年9月8日(月)・9日(火)
- 報告集原稿締切:2025年10月31日(金) 予定
日程・会場
- 日程:2025年9月8日(月)13:00 ~ 9月9日(火)15:00
- 会場:ラフォーレ伊東温泉 湯の庭
- 住所:〒414-0004 静岡県伊東市猪戸2-3-1
- URL:https://www.laforet.co.jp/ito/
- 定員:30名
発表募集
発表申込受付は終了しました.
- 幹事会において発表タイトルと概要を基に採録検討を行い,採録の可否を決定します.
- 著者・発表タイトル・概要は随時Webでの公開を予定しております.
参加者申込受付
参加申込受付は終了しました.
発表の申し込みをされた方も,別に参加の申し込みが必要です.お忘れないようにお願いいたします.
- 参加申し込みを行ったのち参加費の支払い確認をもって参加登録とします.
- 参加者向けページのURLは別途メールでお知らせします.
会費
以下の参加費の表記は,すべて税込みのものとなります.
若手の方の負担を少なくして気軽に参加していただきたいと考え,学生料金に加えて "若手" 料金を設定しています.「2025年度末(2026年3月31日) 時点で 32 歳に満たない」方は "若手" 料金でお申し込みいただけます.
注: 以下の料金表は 2~3 人部屋の場合です. 1 人部屋を希望される方は,宿泊食事費に ¥5,500 (1泊分税込み) が加算となります.食事費には,夕食・朝食・昼食が含まれます.
情報処理学会の会員 | 情報処理学会の会員ではない | |
---|---|---|
学生 | ¥16,500 (参加費 ¥4,400 + 宿泊食事費 ¥12,100) | ¥20,900 (参加費 ¥8,800 + 宿泊食事費 ¥12,100) |
"若手" | ¥22,000 (参加費 ¥9,900 + 宿泊食事費 ¥12,100) | ¥26,400 (参加費 ¥14,300 + 宿泊食事費 ¥12,100) |
一般 | ¥25,300 (参加費 ¥13,200 + 宿泊食事費 ¥12,100) | ¥30,800 (参加費 ¥18,700 + 宿泊食事費 ¥12,100) |
支払い
支払い,請求書・領収書の発行には情報処理学会のマイページを利用します.
申し込みをされた方には,準備が整い次第,メールで連絡があります.マイページにログインして手続きを行ってください.
- 領収書の発行は一度しかできません.ご注意ください.
- 情報処理学会の会員でない方は,マイページにログインするための情報がメールで通知されます.
- 参加費には消費税を含みます.
- 複数の身分をお持ちの方は,高い方の料金を適用させていただきます.
- 情報処理学会ジュニア会員の方は,学生会員の料金を適用いたします.
- 参加される方で情報処理学会の会員でない方は,この機会に情報処理学会への入会をお勧めしています.詳しくは情報処理学会の入会案内を参照ください.
プログラム(タイムテーブル)
2025年9月8日(月)
- 開場 (受付開始) : 13:00 - 13:30
- この時間に各自で会場までお越しください
- オープニング : 13:30 - 13:40
- 幹事より連絡事項等をアナウンスします
セッション1 : 13:40 - 15:00
- 自然言語を用いた三次元点群内位置特定における評価指標の課題と考察
- 東 智輝(日本大学大学院総合基礎科学研究科), 谷 聖一(日本大学文理学部)
概要
近年,自然言語による位置記述に基づいて,三次元点群内の対象位置を推定する手法が提案されている.既存の研究では,評価指標として,あらかじめ定められた正解地点に対応する位置記述と,その記述に基づいて推定された地点との距離や top-k 精度が用いられることが一般的である.しかし,自然言語による位置記述には曖昧さが伴い,記述に対応しうる合理的な位置候補が複数存在する場合も多い.このような場合,単一の正解地点に基づく現在の評価指標では,モデルの推定が人間の直感に合致していても,性能が過小に評価される可能性がある.本発表では,この問題をデータセット分析に基づいて検討し,より柔軟かつ妥当な評価手法の必要性を指摘するとともに,クロスモーダルな位置特定タスクにおける「テスト」としての評価設計の限界と今後の方向性について考察する.
- tree-sitterを用いたプログラム部分点算出手法
- 涌井 慧 (電気通信大学大学院 情報理工学研究科), 中山 泰一 (電気通信大学)
概要
本発表では,プログラミング教育における学習者と教育者の支援を目的とした,プログラム自動採点システムにおける「部分点」の算出手法の改善を提案する.情報教育シンポジウムにて発表した先行研究では,抽象構文木(AST)とPath Contextというデータ構造を用いた静的解析による部分点算出手法を提案し,その特性と有効性を示した.しかし,この手法ではASTの特性から,対象が構文エラーのないプログラムに限定されるという課題があった.そこで本発表では,構文エラーのあるプログラムに対しても構文木を生成できるパーサとしてtree-sitterに着目し,これを用いて具象構文木(CST)を生成することで,従来手法では扱えなかったプログラムに対する,部分点算出の可能性を検討する.具体的には,tree-sitterによって生成されたCSTとPath Contextに基づく部分点の算出手法の構築について議論したい.
セッション2 : 15:30 - 17:30
- プログラミングコンテストのテストケース作成
- 米山 瑛士(東京大学理学部)
概要
プログラミングコンテストのアルゴリズム(Algo)分野は,課題の要件を満たすプログラムを作成することで参加者が得点を得るという形式の競技です. 近年の主流なプログラミングコンテストでは,ユーザーの提出したプログラムは任意の可能な入力に対して正しい挙動をすることが暗黙に求められています.(素朴ないくつかのケースに対してのみ正解できれば良いといった方針は,現在ではあまり見られません.) 提出されたプログラムの評価には,種々の理由から,形式的検証ではなくテストケースによる方法が用いられています.しかし,無数にあり得る入力全体に対する正当性を少数のテストケースを用いて判定することには必然的に困難が伴います. 本発表では,プログラミングコンテストにおけるテストケース作成に伴う様々な困難と,それに対する対処法を紹介します.具体的には,最適化問題における「解法の合成」への対策,木やグラフなどの構造とランダムネスの活用との関係,ユーザー側のケースハックの方法とそれに対する対処などについて取り上げる予定です.
- セキュリティコンテストの試行過程に基づくスコア評価方法の検討
- 丸山 一貴(明星大学情報学部), 遠藤 裕太(パナソニック ソリューションテクノロジー株式会社)
概要
セキュリティコンテストの競技形式の一つにCapture The Flag形式がある.セキュリティや情報科学の知識を用いて問題を解き,隠された文字列であるフラッグを取得できると正解とみなされる.出場者の順位は問題の正解数と所要時間によって決定されるのが一般的である.初学者にとっては問題を一つ解くだけでも難しく,様々な試行錯誤を行うが,正解のフラッグを取得できない限り不正解として扱われる. 我々はこれまでに,こうした試行錯誤の過程を可視化することで,不正解の参加者が正解の参加者の試行とどう異なっていたかを振り返る支援方法を検討してきた.本発表ではこれまでの取り組みに加えて,出題者がある種の採点基準を事前設定することで,不正解であってもどの程度惜しかったかを評価する方法についての検討状況を報告する.
- TBA
- 中山 心太(NextInt)
- 夕食 : 18:00 - 19:00
セッション3 : 19:10 - 20:30
- ワークショップ
- 自由討論 : 20:30 - 22:00
2025年9月9日(火)
- 朝食 : 7:00 - 8:45
セッション4 : 9:00 - 10:20
- 生成AIを組み込んだアプリケーションにおける現場目線のテスト戦略 〜無限の試行と有限の現実〜
- 浅田 かんな(九州大学統合新領域学府), 小出 洋(九州大学情報基盤開発研究センター)
概要
近年,生成AIを組み込んだアプリケーションが急速に増加する一方で,そのテスト手法は未だ模索段階にある.本発表では,企業に勤務する社会人学生として,実際の現場で生成AIを活用したアプリケーション開発を行う中で直面した「AIの出力パターンが多様すぎてテストが終わらない」という課題を出発点に,手動テストや自動化スクリプトが抱える限界,生成物の品質検証における定量評価の困難さなどを具体的に紹介する.また,テストの「完璧さ」を求めることの非現実性と,現場でどこに線を引くかという実践的な判断基準についても議論する.生成AIの導入において「粗探しの無限ループ」から抜け出すためのテスト設計の考え方を模索したい.
- 論文投稿管理システムConfmanExにおけるユーザ入力検証に関する工夫
- 三浦 元喜 (千葉工業大学工学部)
概要
本発表では,我々が開発している論文投稿管理システムConfmanExにおけるユーザ入力および入力内容の検証を円滑に行うための設計と実装,運用結果について述べる.通常,論文を執筆した著者が投稿する場合,執筆した原稿PDFをアップロードする作業とは別に書誌情報を入力する作業が必要になる.この際,著者は締め切りに追われていることや,疲労していることが多いため,どうしてもミスが生じやすい. ConfmanExでは,投稿時には原稿PDFをアップロードするだけでよく,書誌情報は採択後に入力すればよい設計にしている.また,書誌情報の入力についても,PDFに含まれるテキストから必要な文字列を選択するインタフェースにより,PDFと書誌情報の齟齬が生じにくい仕組みとなっている.これらの工夫により,投稿者および書誌情報を確認する担当者の作業負担を軽減できる. 査読付きシンポジウム/ワークショップでの実運用の結果を踏まえつつ,提案機能の有効性や今後の可能性について議論する.
セッション5 : 10:40 - 12:00
- プログラミングの力はどこまで試験で測れるのか
- 筧 捷彦(東京通信大学情報マネジメント学部), 植原 啓介(慶應義塾大学環境情報学部), 角田 博保(電気通信大学大学院情報理工学研究科), 高橋 尚子(國學院大學経済学部), 辰己 丈夫(放送大学教養学部), 谷 聖一(日本大学文理学部), 中野 由章(工学院大学教育推進機構), 中山 泰一(電気通信大学大学院情報理工学研究科), 西田 知博(大阪学院大学情報学部), 萩原 兼一(大阪大学大学院情報科学研究科), 坂東 宏和(獨協医科大学医学部), 安田 豊(京都産業大学情報理工学部)
概要
我々は,情報入試のより良いあり方を求めて調査研究を行なっている.その一環とし情報模試を行なっている.この発表は,その模試に中で「プログラミング」の力を測ることを意図した設問とその成績を紹介して,試験で「プログラミング」の力がどのようにどこまで測れるのかの議論のきっかけを提供することを意図している. なお,これまでに模擬試験を2度実施した.いずれもTAOを使って実施し,受験してくれる生徒の募集も模試の実施もすべてインターネット上で行う方式をとっている.問題出題形式としては,多肢選択式又は数値や記号等で解答する形式を想定している.
- 高校教科「情報」のプログラミングに関する能力評価における実行環境有無の影響の検討に向けて
- 谷 聖一(日本大学文理学部), 植原 啓介(慶應義塾大学環境情報学部), 角田 博保(電気通信大学大学院情報理工学研究科), 筧 捷彦(東京通信大学情報マネジメント学部), 高橋 尚子(國學院大學経済学部), 辰己 丈夫(放送大学教養学部), 中野 由章(工学院大学教育推進機構), 中山 泰一(電気通信大学大学院情報理工学研究科), 西田 知博(大阪学院大学情報学部), 萩原 兼一(大阪大学大学院情報科学研究科), 坂東 宏和(獨協医科大学医学部), 安田 豊(京都産業大学情報理工学部)
概要
「大学入試を中心とした情報分野の学力評価手法の検討 (EMIU)」プロジェクトでは、これまで「情報Ⅰ」を出題範囲とした「EMIU情報模試」を TAO を用いた CBT で2回実施した.CBT での実施であるが,基礎的データを取得するためにマークシート解答方式での PBT でも出題できる問題を出題した.プログラミングなどを扱う問題では,マークシート解答方式でも出題できる形式よりフィードバックが得られる実行環境での出題形式の方がより適切に能力を測れるのではという仮説を EMIU プロジェクトでは立てている.そこで,この仮説を検証するため,大学入試センターが開発し GitHub で公開している TAO 用プログラミング問題PCIモジュール CBP をベースに「EMIU 情報模試」でも利用できるPCIモジュールを開発している.本発表では,このモジュールの概要を紹介し,デモを行う.
- 昼食 : 12:00 - 13:00
セッション6 : 13:10 - 14:40
- デモセッション
- パネルセッション
- クロージング : 14:40 - 14:50
- アナウンス・告知などを行います
幹事
- 北村 崇師 (産業技術総合研究所)
- 小出 洋 (九州大学)
- 谷 聖一 (日本大学)
- 山口 文彦 (豊田工業大学)
問い合わせ
- sprosym2025 {at} ipsj.or.jp