日程・会場
- 日程:
- 開場: 2027年1月8日(金) 12:30 (受付開始)
- 開会: 2027年1月8日(金) 13:30
- 閉会: 2027年1月10日(日) 12:00
- 会場:
- 現地会場: ホテルラフォーレ那須 (〒325-0301 栃木県那須郡那須町湯本206-959)
詳細は「参加募集のご案内」をご確認ください.
1 日目 : 2027年1月8日 (金)
那須塩原駅からラフォーレ那須までは,ラフォーレが運営するバスでの移動になります.お時間にお気をつけください.
11:40発の定期運行便の他に,12:40発のプログラミング・シンポジウム専用の臨時便を出してもらう予定です.
- 開場 (受付開始) 12:30
- オープニング 13:30 - 13:40
セッション 1 : 13:40 - 15:25
- [口頭発表] AI時代のITとIT技術者
- 竹内 郁雄(東京大学)
概要
最近AIの動きが速すぎて,一寸先は闇だが,二寸先は明るいかもしれない.四半世紀を超えた未踏事業で,数々の素晴らしい才能のIT技術者を見てきたが,これからITとIT技術者はどうなるのか,プログラミングはどうなるのか,プログラミング教育はどうなるのか,などなど,気になる問題がたくさんある.申し込み時点ではこう考えていたのに,発表時点ではまるで違う様相の話になってしまうかもしれないが,AIの速い「流れに棹さして」,いろいろなエピソードを交えて考察していきたい.10月18日のDevfest 2026 in Osakaでの講演がベースになるかもしれない.
- [一般講演] コード生成AIと作るミニ言語処理系:HPC向け指示文のソース間変換を題材として
- 大島 聡史 (九州大学情報基盤研究開発センター)
概要
相互運用性や汎用性、継続性が重要であるHPCにおいては、独自のプログラミング言語への関心はあまり大きくない。 一方で指示文(ディレクティブ)を用いたプログラミングは、生産性と性能を両立させやすい点で一定の需要があり、様々な研究が行われてきた。 しかし、独自の指示文に関する研究においては、処理系の実装が大きな課題の一つとなっている。 指示文仕様を考えるだけならまだしも、処理系を実装し継続してメンテナンスすることは容易ではない。 そこで本研究では、コード生成AIを用いて処理系を作ることを考える。 コード生成AI自体に指示文を処理させる「LLM as Translator」と、コード生成AIを用いて実装された処理系「LLM Generated Translator」を軸に、HPC向け指示文のソース間変換について考える。
- [一般講演] アクターモデルを保ったネットワークシミュレータの高速化
- 楠見 健太郎 (九州大学大学院システム情報科学府), 小出 洋 (九州大学情報基盤研究センター)
概要
我々は Python/Pykka で実装したアクターモデルのネットワークシミュレータを強化学習環境として用いているが、1000ノード規模では1ステップに数秒を要し、学習の律速となっている。本発表では、アクターモデルを保ったままシミュレータを Rust、Elixir、Scala へ移植し、15から1000ノードまでの規模で Python 版と実行時間とメモリ使用量を比較する。比較は2種類の負荷で行う。1つは同じ通信を同期なしで流すシナリオ実行、もう1つは各ステップの終わりにシミュレータが落ち着くまで待つ強化学習のステップ実行である。さらに Python 版では、この待ち方を一定間隔で確認するポーリングから、落ち着いた瞬間に通知を受けるイベント駆動へ替えた版も測る。これらを比べ、遅延の原因が言語の実行環境とステップの待ち方のどちらにあるかを切り分け、アクターモデルにおけるベストプラクティスを議論する。 るか」(インターフェース)を「どう作られているか」(実装)から切り離す。ノード、メッセージ、コマンドをOMNeT++の記法を拡張した宣言ファイルに書き出し、そこからPythonの基底クラスと、実行前に誤りを見つける検証器を自動生成する。課題、モデル、プロンプトを固定し、次の5通りを比べる。(1)今のコードを読ませる、(2)実装から型の一覧を取り出す、(3)宣言から型の一覧を作る、(4)宣言ファイルを読ませる、(5)宣言ファイルに実行前の検証を加える。LLMが読む量、合格率、実行前に見つかったバグ、エラーにならない失敗の数、実行時の負荷を測り、どの工夫が有効だったかを一つずつ切り分けて議論する。
- 休憩 15:25 - 15:30
セッション 2 : 15:30 - 17:50
- [一般講演] Lune:遅延評価を観察可能にする教育向け関数型言語
- 小出 洋 (九州大学情報基盤研究開発センター)
概要
遅延評価は挙動の不透明さゆえに初心者教育に不向きとされ、教育向け関数型言語は遅延を言語から排除する(Elm)か、`<
>` に代表される不透明さを受け入れる(GHC)かの二択を迫られてきた。本稿では第三の設計点として、デフォルト遅延評価を保ったまま遅延を「観察可能」にする教育向け関数型言語 Lune を提案する。Lune の REPL はサンクの評価状態を評価せずに表示する `:thunks`、強制の順序とメモ化をソース式つきで実況する `:trace` を備え、循環定義は位置と修正方針を示す診断として報告される。さらに全診断コードに教材水準の解説が付属することをテストスイートが機構的に強制し、日本語診断と機械適用可能な修正提案を提供する。GHC・Elm・Rustとの診断比較により設計空間における Lune の位置を示し、教育効果の評価計画を議論する。 - [口頭発表] PerlOS: malloc/freeが見える教育用Bare Metal Perl環境の開発
- 竹迫 良範 (神山まるごと高専)
概要
OSや標準ライブラリによる抽象化が進んだ結果、プログラムの起動から言語処理系の実行、動的メモリ管理、ハードウェア制御までの過程を直接観察する機会は少なくなっている。そこで、Arm Cortex-M33のBare Metal環境でPerl言語処理系を動作させる「PerlOS」を提案する。PerlOSは、約1500行の自作コードで構成したOSで、起動処理、タイマ、コンソール入出力に加え、printf/malloc/freeなどを備えた独自Cライブラリmicrolibcと、組み込み機器向けの読み取り専用ファイルシステムROMFS2を実装し、その上にmicroperlを組み込み、OS起動後にPerlのREPLをシェルとして直接利用できるようにした。開発環境にはQEMUを用い、ほぼ同一のコードベースでRaspberry Pi Pico 2実機でも動作させることに成功した。また、XSUBを用いてメモリマップドI/OをPerl側へ公開し、GPIOなどのデバイス制御をPerlのプログラムとして記述できるようにした。さらに、QEMU上の物理メモリをリアルタイムに可視化するramviewを実装し、mallocやfreeに伴うヒープ領域の変化を視覚的に観察できるようにした。これにより、OS、C標準ライブラリ、言語処理系、動的メモリ管理、デバイス制御をブラックボックスとして扱うのではなく、ブートからプログラムが動く仕組みを一貫して観察できる教育実験環境を実現した。 https://github.com/takesako/perlos
- [口頭発表] 形式指向言語 Dafny のためのループ実装支援 VS Code 拡張の設計 ー ループを含むプログラムを検証するハードルを下げる ー
- 𠮷田 和誠 (広島市立大学情報科学部), 川端 英之 (広島市立大学大学院情報科学研究科)
概要
形式検証向けプログラミング言語 Dafny では手続き型プログラムの検証ができるが,ループを実装するにはループ不変条件の明記が必須で,「少し書いて動かしながら整える」というインクリメンタルな開発を好むプログラマにとって敷居が高い.これに対し我々は,Dafny プログラムにおいて,あたかもループを実行して試すようなやり取りでガードやループボディの妥当性を確かめながら実装を進められるユーザ支援環境を VS Code プラグインとして設計した.本設計では,ユーザがループ不変条件を与えられなくてもループの実行結果に対して望む条件を徐々に書きながら使えるように,ループを再帰関数に変換して検証する.簡単なループの場合には CHC ソルバー(Spacer や HoICE)を用いてループ不変条件を自動導出する.本発表では,これらの機能をまとめた VS Code プラグインとして実装したプロトタイプツール TAMESU Ver.0.2 を紹介する.
- [口頭発表] TypeScript ライブラリとして利用可能な日本語組版エンジン minitype の設計と実装
- 和田 優斗 (筑波大学 システム情報工学研究群 情報理工学位プログラム), 志築 文太郎 (筑波大学 システム情報系)
概要
TypeScriptライブラリとして利用可能な日本語組版エンジンminitypeを示す.minitypeでは,文書構造およびスタイルをTypeScriptのオブジェクトおよび関数として記述する.また,ライブラリが提供するAPIを通じて,サーバサイドおよびブラウザの両環境にて組版処理を実行できるとともに,組版結果に関する構造化された診断情報を取得できる.これらの特徴により,既存アプリケーションへの組版機能の組込みや,組版結果に基づく文書の検査・修正が可能となる.本稿では,minitypeの設計方針を示すとともに,文書の記述方法や組版処理のアルゴリズム,多様な利用形態に対応するためのインタフェースについて,設計・実装上の工夫を紹介する.加えて,アプリケーションへの組込みや生成AIツールとの連携等のユースケースを示す.その上で,開発を通じて得られた知見や課題,今後の展望について議論する.
- 協賛企業PR 17:50 - 18:00
- 夕食 18:00 - 19:30
セッション 3 : 19:30 - 20:30
- [口頭発表] 特殊歯車を用いた歩行支援アシストスーツ
- 村木 雄太 (九州大学芸術工学府)
概要
本研究では、歯車機構を用いた歩行支援パッシブ式アシストスーツ「Mechanical Suits」と、その自動人間工学設計ソフトウェアを開発した。従来のパッシブ式アシストスーツは、ばね等の弾性要素の特性によりアシストトルクが関節角度に対して直線的に変化するため、歩行の局面に応じたアシストが困難であった。そこで、非円形ピニオンと曲線ラック歯車を組み合わせ、ピッチ曲線の形状によってトルクプロファイルを自由に設計可能とした。また、身長・体重・歩行速度から装具寸法、ばね定数、歯車形状を自動で決定し、3Dプリンターで製造可能な設計データを出力するソフトウェアを構築した。これにより本アシストスーツはオーダーメイド式にもかかわらず、設計から製造までが半自動で行われる新しい人間工学製品のあり方を示している。
- [口頭発表ショート] RISC-Vハイパーバイザ拡張を用いたページテーブルの完全性保護に向けて
- 岩野 空仁 (九州工業大学), 村上 和馬 (九州工業大学)
概要
オペレーティングシステムの中核であるカーネルは複雑なソフトウェアであり,多くの脆弱性が報告されている.カーネルはページテーブルを管理してメモリアクセスを制御するが,侵害されるとページテーブルを書き換えられ,メモリ保護が回避される可能性がある.このため,ページテーブルの更新をカーネルから隔離された保護機構で監視・制御する手法が提案されている.しかし,保護機構を構成するソフトウェアにも脆弱性が報告されているほか,特定のハードウェア機構を必要とするという問題がある.本発表では,RISC-Vハイパーバイザ拡張を用いてページテーブルの完全性を保護するMemWardenを提案し,実装の詳細について説明する.MemWardenでは,ページテーブルの更新を軽量なハイパーバイザに委譲し,ベースアドレスと更新内容を検査することで,不正なページテーブルの利用やマッピングを防ぐ.MemWardenをBaoハイパーバイザとxv6に実装し,ページテーブルの完全性を保護するための実現方法を検討する.
GPCC と並行してポスター・デモセッション 20:35 - 22:05
ポスター・デモセッションでは,ポスターやデモのみの発表に加えて,昼の通常発表と重複してポスター・デモとしても登録しているものがあります.これは,通常発表の議論をポスター形式でも少人数・対面でおこなったり,通常発表の内容をデモとして紹介したりできるようにしているものです.以下のリストでは,このような発表の冒頭に (*) をつけています.
また,ポスター・デモセッションの会場は 2 日目の夜までそのまま開いています.夜のセッション群と並行してになりますが,翌日の夜も引き続き,ポスターやデモの議論をおこなっていただけます.
- テレポーテーションシステムその2
- 山之上 卓 (福山市立大学), 筒井 保博 (福岡産業保健総合支援センター), 筒井 隆夫 (黒崎播磨㈱ヘルスケアプラザ)
概要
形が変わるおもちゃ「テスラスネーク」をテレポーテーションシステムの2つの転送装置の片方に入れると、瞬時に転送され、もう片方から出てきます。逆方向の転送も可能です。
- (*) Lune:遅延評価を観察可能にする教育向け関数型言語
- 小出 洋 (九州大学情報基盤研究開発センター)
- (*) PerlOS: malloc/freeが見える教育用Bare Metal Perl環境の開発
- 竹迫 良範 (神山まるごと高専)
- (*) RISC-Vハイパーバイザ拡張を用いたページテーブルの完全性保護に向けて
- 岩野 空仁 (九州工業大学), 村上 和馬 (九州工業大学)
- (*) 利用者の要求に基づくデータ処理の自動生成と計算内容の照合
- 山田 悠士 (ソフトバンク株式会社)
- (*) かけ算の掛順問題について
- 河野 真治
- (*) システムに関する契約と信頼〜答責性の要件特定に向けて
- 木下 佳樹 (神奈川大学情報学部)
- (*) スマートフォンでプログラミングする環境をスマートフォンで構築できるか?
- 長 慎也 (明星大学)
- (*) TypeScript ライブラリとして利用可能な日本語組版エンジン minitype の設計と実装
- 和田 優斗 (筑波大学 システム情報工学研究群 情報理工学位プログラム), 志築 文太郎 (筑波大学 システム情報系)
- (*) 身体の状態と環境情報を用いたAIによる食事提案アプリ
- 渡辺 昊 (山口コアカレッジ ITエキスパート科)
- (*) 特殊歯車を用いた歩行支援アシストスーツ
- 村木 雄太 (九州大学芸術工学府)
- (*) LLM時代のプログラミング言語設計において構文とは?
- 長井 夢歩 (日本女子大学理学部), 森部 七海 (日本女子大学大学院理学研究科), 西潟 優羽 (日本女子大学大学院理学研究科), 倉光 君郎 (日本女子大学理学部)
自由討論 22:05 - 23:00 (予定)
2 日目 : 2027年1月9日 (土)
セッション 4 : 8:40 - 10:25
- [口頭発表] JITコンパイラにおける不変条件の管理と脱最適化機構の実装
- 一色 聡一郎 (有限会社ソフィア)
概要
monorubyは発表者が個人で開発しているRust製のRuby処理系である。インタプリタとJITコンパイラを持ち、後者は実行時に収集した型情報及び抽象解釈を用いた型推論に基づいて投機的な最適化コンパイルを行い、投機が失敗した際にインタプリタへ戻り実行を継続するOSR(脱最適化)機構を備える。Rubyは動的な言語であり、メソッドの再定義、evalなどのメタプログラミングで実行中にプログラムの意味論が変わりうるため、「メソッドは再定義されない」などJITコードが前提とする不変条件はほぼ任意の場所で破られうる。本発表では、これらの不変条件をどう表現し監視し、破れた際にどう安全に復帰するかを説明する。さらに、特殊化コンパイルやメソッド境界を越えた定数伝播・不要コード除去を導入した結果、深い呼び出し連鎖で脱最適化のコストが増大した問題や、多相メソッド呼び出しの扱いを取り上げ、monorubyでの対処について述べる。
- [一般講演] WebAssemblyの仕様から導出されるプログラム詳細化検査器
- 田村 来希 (京都大学)
概要
プログラム最適化器の誤りは、ユーザが気づかないうちにプログラムの実行結果を変えてしまう。WebAssemblyは多くの言語のコンパイル先となるバイトコード形式であり、C、C++、Rustなどのツールチェーンの多くは最後に最適化器Binaryenを適用する。Binaryenは主に差分ファジングで検査されているが、WebAssemblyの仕様は一部の命令に複数の結果を許すため、この方法では見つからない誤りがある。本研究では、WebAssemblyの機械可読な公式仕様を記号実行する詳細化検査器を構築し、最適化前後のプログラムに適用して誤コンパイル(誤った最適化)を検出する。その結果、Binaryenに新たな誤コンパイルを8件発見した。いずれもBinaryen自身のファザーでは見つからず、うち3件は差分ファジングでは原理的に見つからない。さらに、プログラムを変形するツールであるwasm-mutateとSuperStackの誤った書き換えを見つけ、仕様の不整合2件の修正に貢献した。
- [口頭発表] Sharelib: 分散プロトコルによる蔵書ネットワークの設計と図書館情報システムの実装
- 鶴丸 倫琉 (広島市立大学 情報科学部 情報工学科), 舟阪 淳一 (広島市立大学大学院 情報科学研究科 情報工学専攻)
概要
既存の蔵書検索システム(OPAC)は、ベンダーや運営主体(自治体・学校・大学等)ごとに分断されており、図書館が蓄積する書誌情報や所蔵資料を組織横断的に活用することは容易ではない。そのため、利用者は図書館ごとに利用登録や異なるシステムの操作を求められ、横断的な蔵書検索や相互貸借を通じた資料へのアクセスにも制約が生じている。 本研究では、中央集権的な統合OPACを新たに構築するのではなく、各図書館が既存の管理システムとデータの管理主体性を維持したまま相互接続できる、分散型相互運用プロトコルの設計と、その参照実装「Sharelib」の開発を目的とする。ActivityPubに代表される連合型アーキテクチャを参考に、静的な書誌情報の公開と動的なAPIによる所蔵照会・資料提供処理を組み合わせることで、組織間の相互運用性と、小規模な組織でも導入可能な低コスト性の両立を目指す。 さらに、学術リポジトリや私設図書館のネットワークへの適用可能性についても検討し、組織の境界を越えた分散型知識基盤の実現を目指す。
- 休憩 10:25 - 10:30
セッション 5 : 10:30 - 12:10
- [口頭発表ショート] インタプリタ実装モデルに対するメタトレーシングJIT最適化の適用性評価
- 加賀城 大志 (電気通信大学), 小宮 常康 (電気通信大学)
概要
複数のインタプリタ実装モデルを RPython で実装し,メタトレーシング JIT による最適化の適用状況と実行性能を比較・評価する.さらに,最適化を促す実装上の工夫について検討する.
- [口頭発表ショート] 敵対的Suffixの多様性に着目したLLM安全性テストの一考察
- 小林 明生 (信州大学), 北村 崇師 (産総研), 磯部 祥尚 (産総研), 小形 真平 (信州大学), 岡野 浩三 (信州大学)
概要
大規模言語モデル(LLM)の安全性評価において、有害な要求に対する応答拒否は重要な観点であり、その拒否を回避する敵対的攻撃を用いたテストが求められる。Greedy Coordinate Gradient(GCG)に代表される敵対的Suffix攻撃は、要求にSuffixを付加することで、有害な要求に対する応答拒否の回避を試みる手法である。一方、ソフトウェアテストの観点から、敵対的Suffixの品質、とりわけ多様性の重要性については十分に検討されていない。本稿では、敵対的Suffixの品質基準として多様性に着目し、多様なSuffixの生成を促すGCGの拡張手法を構想する。さらに、Suffixの多様性と安全性上の欠陥検出能力との関係を実験的に検証するための研究方針を提示し、LLMの安全性テストにおける多様性の役割について議論する。
- [口頭発表ショート] LLM内部観察によるコード生成メカニズムの解明に向けて
- 森部 七海 (日本女子大学大学院理学研究科), 西潟 優羽 (日本女子大学大学院理学研究科), 長井 夢歩 (日本女子大学理学部), 倉光 君郎 (日本女子大学理学部)
概要
大規模言語モデル(LLM)は,事前学習にほとんど含まれない新しいプログラミング言語でも,文脈内学習によりコードを生成できる.しかし,その際にモデル内部で何が起きているかは明らかでない.本研究では,日本語ベースの新規言語Yuiを対象に,YuiEval全164問の正解コードをteacher forcingで与え,Yuiのキーワード位置での各層の予測をLogit Lensで観察した.Qwen2.5-Coder-32Bを分析した結果,中間層では「如果」「loop」「then」など制御構造を表す自然言語の概念語が上位を占め,Pythonの語彙はわずかにしか現れず,Yuiのキーワードは最終層付近で初めて現れた.この結果は,LLMが新しいプログラミング言語のコードを,特定のプログラミング言語ではなく疑似コードに近い表現を経て書いている可能性を示唆する.
- [口頭発表ショート] LLM時代のプログラミング言語設計において構文とは?
- 長井 夢歩 (日本女子大学理学部), 森部 七海 (日本女子大学大学院理学研究科), 西潟 優羽 (日本女子大学大学院理学研究科), 倉光 君郎 (日本女子大学理学部)
概要
LLMがコードを書く機会が増える中、人間のために設計されてきた構文はLLMにとってどのような意味を持つのかが問われている。しかし既存の言語どうしの比較では、学習データの量や言語の意味など構文以外の要因が混ざり、構文の影響を取り出せない。そこで、公開情報が少なくLLMの事前学習データにほぼ含まれないと考えられ、意味を保ったまま構文だけを変えられる、日本語で書ける言語Yuiに着目する。本研究では、現行のYuiと、人間にとって不自然で事前学習データにも存在しないと考えられる構文のYuiを比較する。新構文の実装前に、Perplexity(PPL)でその構文がLLMにとって低頻度であることを確認し、同じ問題での正解率(Pass@1)を比べる。これにより、LLM時代の言語設計における構文の役割を考察する。
- 昼食 12:10 - 13:10
招待講演 13:10 - 14:20
- [招待講演] 「技術と法」の役割分担・協働のこれからついて
- 西尾 太一 (大阪地方裁判所)
概要
技術と法の関係は、これまでも、新技術が出るたび、多くの論点を産み出してきた。今回のシンポジウムの中心テーマであるAIもその一つである。一方、法律そのものが有する性質や、紛争案件を解決する司法の性質からすると、技術と法の間に乖離が生じることも少なくない。このような乖離は、必要な場合もあれば、時に不幸な乖離となることもある。そこで、今回は、AIが法実務にどのような影響を及ぼすかという点について、民事一般の実務、特許法や著作権法といった知的財産権実務、手続法等を題材に、総花的に論点提起をし、エンジニア目線からのご意見と法律側の意見を交える場を提供したい。
- 休憩 14:20 - 14:25
セッション 6 : 14:25 - 15:35
- [口頭発表] システムに関する契約と信頼〜答責性の要件特定に向けて
- 木下 佳樹 (神奈川大学情報学部)
概要
システムが仕様通りに動くことを求めるのが契約だが,想定できなかった状況への対応など,仕様に記されていないが求められる事柄がある.その根拠はステークホルダ間の信頼だと考えられる.あらゆる場合を想定して仕様に盛り込むことが人知では不可能である以上,信頼関係による要求も必然的に生じる.信頼を保つための能力は,いわゆる答責性accountabilityであり,契約を遂行する能力であるdependabilityと相補的に働くシステムの特性だと考えている.契約と信頼についての考えは古くからある.英国法では普通法Common Lawに支えられる契約Contractと衡平法Equityに支えられる信認fiduciaryとして論じられている.わが国でも古来,力によって所有する「うしはく」と関心・慈しみによる「治らす」の二つの治めかたが論じられてきた.これらを踏まえて,システムのステークホルダが互いの信頼を保つために求められる要件を,倫理や宗教ではなく,システム工学的な文脈で提示しようとしている.その経過を報告する.
- [一般講演] 利用者の要求に基づくデータ処理の自動生成と計算内容の照合
- 山田 悠士 (ソフトバンク株式会社)
概要
データ利用では,形式や項目,単位の異なるデータを,利用目的に応じて加工・集計する必要がある.本研究では,利用者が求める結果の要件から,必要な処理を自動生成する方法を提案する.自動生成では,集計対象や単位の取り違えによる計算の誤りを検出することが課題となる.そこで,データ項目の意味,求める結果の定義,各演算の適用条件と計算規則を,共通の語彙で関連付けたRDF(Resource Description Framework)のグラフとして記述する.要求の定義に合う演算を選び,その入力を得るために必要な演算を組み合わせ,入力データから結果までの処理列を構成する.さらに,各演算の規則から処理列全体の計算式を導き,要求を表す式と照合することで,定義した条件の下で要求を満たすかを形式的に検証する.本発表では,処理の生成と検証を行う試作システムを実演し,検証できる範囲と課題を報告する.
- 休憩 15:35 - 15:40
セッション 7 : 15:40 - 16:30
- [口頭発表ショート] 生成AIと大学のプログラミング入門教育
- 田中 哲朗 (東京大学情報基盤センター)
概要
本発表では,約30年間にわたり東京大学の全学向けおよび専門向けプログラミング教育に携わってきた定点観測に基づき,生成AI時代の大学プログラミング入門教育のあり方を考察する.受講生の環境や使用言語(Java, Ruby, Python) の変化、高校での「情報I」必修化の影響を振り返りつつ,LLMの台頭による評価方法や課題設計の変容を報告する.特に,従来出題してきた課題が無料のLLMで容易に解けるようになった現状を踏まえ,2026年度からの筆記試験・小テストの導入などの対応策を紹介する.その上で,プロ開発者も生成AIを活用する現代において,「ゼロからコードを書く」前提の入門教育をどう再定義すべきか,コードの読解や仕様の理解,シミュレータを用いた本質的理解など,今後教えるべき体系的知見について参加者と議論したい.
- [口頭発表ショート] (未定)
- 筧 捷彦
- 休憩 16:30 - 16:40
各種報告 : 16:40 - 17:10
- 夏のプログラミング・シンポジウム報告
- 情報科学若手の会報告
- GPCC 報告と案内
- アナウンスなど
山内奨励賞受賞講演 : 17:10 - 17:50
- 休憩・移動 17:50 - 18:00
- 夕食 18:00 - 19:30
セッション 8 : 19:30 - 21:05
- [口頭発表ショート] スマートフォンでプログラミングする環境をスマートフォンで構築できるか?
- 長 慎也 (明星大学)
概要
筆者は、ここ3年ほど、スマートフォンでプログラミングを行うためのシステムを、主にスマートフォン上で開発してきた。 その過程で、スマートフォンのWebブラウザ単体で動作するNode.js下位互換環境「petit-node」、仮想キーボードとテキストエディタからなるプログラミング環境「acepad」、HTTP通信のみでGitのようなバージョン管理を行う「gsync」などのサブシステムが生まれ、開発環境が整いつつある。 一方、すべての開発作業をスマートフォン上で完結できるわけではなく、PCや生成AIを併用する場面もある。本発表では、開発時のキーストロークやgsyncのコミット履歴などを分析し、実際にどのような作業がスマートフォン上で行われ、どのような作業で他の環境が利用されるのかを調べる。これを通じて、スマートフォンで快適に開発できるタスクの特徴と、その可能性や限界について考察する。
- [一般講演] かけ算の掛順問題について
- 河野 真治
概要
掛順問題とは、5x2=2x5 の両辺の意味の違いを問題にする話である。この左右はまったく同じで違いはないという主張から、 かけ算による定義に従った違いがある、あるいいは、かけ算には定義はないという主張までいろいろな主張がある。 ここでは、自然数のかけ算をAgdaによる再帰的定義で与えて、掛け順問題の一つの解として、モナド的な副作用として掛順の違いを実際に見る方法示す。 普通は、これで理解されるはずだが、掛け順問題には、教科書の扱い、さらに「いわゆる反順序の議論の仕方」、「交換しない交換則」の問題などがある。 ネットでの正しい対処法を含めて議論を行なう
- [一般講演] AI時代のコンテンツ生成考: AI slopと呼ばれないために
- 横山 大作 (明治大学理工学部)
概要
LLMや生成AIの急速な技術的進展により、我々が楽しむ情報メディアコンテンツは大きな影響を受けている。 生成AIにより瞬時に生成される画像はバズるために消費され、slop = 生ごみ と呼ばれるに至っている。 こんなに手軽に、好きなことができる技術が作られたのに、 かつては夢のようだった、ひとと雑談できるAIが作られたのに、 どうしてこんなにひとの幸せに結びつかない使われ方が増えてしまったのか。 そんな感想を抱かずにはいられない。 本稿では、ひとの楽しみのために作られたゲームAIの技術的発展の歴史と今後期待される使われ方の例を紹介し、単に暇を消費するためのコンテンツを超える、AI slopと呼ばれないようなコンテンツを作るためのAIの利用法について、ともに考える材料を提供したい。
自由討論 21:05 - 23:00 (予定)
3 日目 : 2027年1月10日 (日)
セッション 9 : 9:00 - 10:45
- [一般講演] Hanabiにおける少数対局履歴を用いたパートナー個別適応の検討
- 川崎 一樹 (明治大学大学院理工学研究科), 横山 大作 (明治大学理工学部)
概要
Hanabiは2人から5人で行う協力ゲームであり、プレイヤーは自分の手札を見ることができず、ルールで制限されたヒントを通じてのみ情報を伝え合う。そのため、限られた手がかりからパートナーの意図を読み取り、行動を選ぶことが求められる。強化学習を用いたプレイヤーは自己対戦で高い得点を達成する一方、学習時と異なる相手と組むと得点が大きく低下しやすいことが知られている。これに対し人間は、少ない対局からでも相手の癖を把握して協調できる。本研究では、コンピュータープレイヤーが少数の対局履歴からパートナーの癖を推定し、自身の方策を調整することで得点を改善できるかを検証する。本発表では具体的な手札の推定手法と、推定精度の改善が得点にどう結びつくかを分析する。
- [一般講演] 盤面と正解手順を同時に生成する詰将棋の自動作問:MaskGIT と厳密ソルバによる強化学習
- 中山 心太 (株式会社NextInt)
概要
詰将棋の自動作問を、マスク予測型の生成モデル(MaskGIT)と、厳密な詰将棋ソルバを報酬源とする強化学習で行う。人間の創作詰将棋は使わず、実戦の詰み局面から蒸留した問題を出発点とし、生成した図はすべてソルバで規約(余詰・駒余り・無駄合・遊び駒など)を判定する。本研究では、盤面に加えて正解手順の最初の数手を同じ系列の穴埋め対象として学習させ、手数や余詰の有無を条件として与える。報酬にも手数と余詰の有無を反映させ、長手数で余詰のない作品を狙う。予備実験では、手順を同時に学習したモデルほど、長い手数を指定したときに長手数の作品を多く生成した。本発表では、手順の枠の有無と数を比べる対照実験、条件と報酬の設計が長手数の完全作の生成に与える効果、生成した100万問超の公開データセットと運用中の詰将棋サービスについて報告する。
- [口頭発表] 着手トークン列のみを用いた因果的言語モデルによる盤上ゲームの汎用学習枠組み
- 竹田 拓海 (九州大学工学部融合基礎工学科)
概要
盤上ゲームAIは盤面テンソルを入力とする専用ネットワークが主流である。これに対し本発表では、局面情報を一切与えず着手系列(棋譜)のみを因果的言語モデルに入力し、単一の次トークン予測で方策と価値の双方を出力する枠組みを提案する。盤面復元はモデル内部で暗黙に行われ、prefix条件付けやKVキャッシュなど通常のLLMスタックが学習・推論にそのまま流用できる。本研究では、7×7 Hexで着想を検証したのち、オセロ、5五将棋、チェス、本将棋へゲーム非依存の実装として拡張した。発表では、Rust製の探索・自己対局基盤、勝者側マスクや手番視点の価値符号化といったスキーム設計の比較、線形プローブによる内部盤面の観察、およびEdax・やねうら王との対局を通じた棋力評価を報告する。また、LLMの推論基盤を流用する利点と、系列から構造を再構成する能力の限界について議論したい。
- 休憩 10:45 - 10:50
セッション 10 : 10:50 - 11:40
- [口頭発表ショート] 身体の状態と環境情報を用いたAIによる食事提案アプリ
- 渡辺 昊 (山口コアカレッジ ITエキスパート科)
概要
このアプリは、身体データや環境データをAIが分析し、その時の体調や周囲の環境に応じた食事を提案するアプリである。睡眠時間や運動量、気温、湿度などの情報を入力すると、AIがデータをもとに食事の候補と提案理由を表示する。例えば、睡眠不足や疲労が考えられる場合にはバナナやヨーグルト、暑さの影響が考えられる場合にはおにぎりなどを提案する。また、利用者の好き嫌いや過去の食事履歴、評価なども考慮することで、一人ひとりに合った食事提案を目指す。提案された食事を実際に食べた後は、5段階評価やコメントを入力でき、その情報はデータベースに保存される。蓄積した評価や食事履歴を次回以降のAIへの入力に活用することで、利用者の好みや傾向を反映した提案につなげる。身体の状態や環境だけでなく、利用者自身の嗜好や過去の反応も考慮することで、毎日の食事選びを支援することを目的としている。
- [口頭発表ショート] 低価格な農業データ活用に向けたIoTセンシングシステムの設計と開発
- 岩石 周磨 (広島市立大学情報科学部 情報工学科), 鶴丸 倫琉 (広島市立大学情報科学部 情報工学科), 吉田 和誠 (広島市立大学情報科学部 情報工学科), 川端 英之 (広島市立大学大学院 情報科学研究科 情報工学専攻), 三上 賢治 (広島市立大学 地域共創センター)
概要
中山間地域では、農業従事者の高齢化や担い手不足が進行しており、作業負担の軽減や栽培技術の継承が課題となっている。 本プロジェクトでは、広島市安佐南区の戸山地区を対象に、安価な機器と情報通信技術を活用した、導入しやすいスマート農業システムの開発に取り組む。 本システムは、圃場に設置したセンサーから取得した環境データを、長距離・低消費電力通信規格であるLoRaWANを用いてゲートウェイへ送信し、Webアプリケーションを通じてスマートフォンから確認できる仕組みである。 これにより、離れた圃場の状況を現地に赴くことなく把握できる環境の構築を目指す。 本システムの社会実装および継続的な運用のために、学生主体の開発チームとして、低コストなデバイス増設が可能な設計、持続可能な開発・保守体制の構築、そして一般ユーザーの利用に耐えうる堅牢なシステムの実現が求められている。 本発表では、学生の視点から持続可能なシステムを構築するためのこれまでの取り組みについて報告し、今後の発展に向けて広く意見を募集する。
- クロージング 11:50 - 12:00
12:10発でラフォーレ那須から那須塩原駅までのバスを出してもらう予定です.